コーチングと聞くと、サッカーや野球のテクニックを教えたり、トレーニング方法を伝授したりすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、「相手に何かを教える」=ティーチングであり、コーチングではありません。
コーチングでは、「答えはいつも相手の中にある」という原則の基に、相手が「答え」を導き出せるようにサポートします。
今回は、よく聞かれる質問の「ティーチングとの違い」と、「カウンセリングとの違い」について実例を用いて解説していきます。
コーチング
コーチングとは
コーチングとは、自分で考えて自ら行動ができるようになることを目的としたコミュニケーション技法です。
例えば、子どもがなかなか宿題をしない場合、「宿題しなさい」と言いたくなりますよね。
しかし、言われた子は「はーい」と言ってやりますか?(笑)
「今やろうと思ってたのに!」などとすんなりやってくれないこともあると思います。
子どもが自分で考える機会を与え、「じゃあ、7時からやるよ」など答えられるように導きます。
答えを自分で導き出せるようにサポートすることをコーチングと言います。
コーチングの歴史
「coach(コーチ)」という言葉が登場したのは1500年代です。
元々は、人やものを目的地まで運ぶ「馬車」を表す言葉でした。
そこから発展して、「大切な人を望むところまで送り届ける」という意味が加わりました。
コーチとは、当初はスポーツの世界で広く使われていた技法ですが、最近ではビジネスの世界や教育の世界でも広く使われています。
コーチングの歴史は長く、1950年代にアメリカで研究が始められ、1995年には国際コーチ連盟が発足しました。
日本では2000年頃から企業が着目し始め、人材育成や、病院、自治体、教育現場などでも採用されています。
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ティーチング
ティーチングとは
ティーチングとは、名前の通り「教える」ことです。
経験豊富な人が、経験の浅い人に自分の知識や技術を伝え習得させることです。
例えば、先生が生徒に授業を行ったり、上司が部下に業務内容を伝授したりすることを「ティーチング」と言います。
答えが一つしかないものに関しては、ティーチングが効果的です。
例えば・・数学の計算問題、英語の単語や国語の漢字などは答えが決まっています。
「パパ、飛行機って英語でなに?」「ママ、この計算どうやるの?」などの質問に、「何だと思う?」「どうしたら解けるかな?」のようにコーチングのスキルを使っても全く意味がありません。
さらに、子どもが小さく、いろいろなことを覚える時期にもティーチングがとても大切です。
特に危険なことや社会のきまりなどは、しっかり教えなくてはなりません。
コーチングとティーチングの違い
ティーチング | コーチング | |
答え | 「教える」 | 「教えずに引き出す」 |
立場 | ヘルプ | サポート |
コミュニケーション | 教える側から教えられる側へ 一方通行 | 自分と相手の 双方向 |
どちらも、必要な場面はあります。
特に幼少期や教わらないとできないことなどは、ティーチングが必要不可欠です。
答えが決まっていないことに関しては、コーチングでのコミュニケーションをすることで、相手の自己肯定感も育ちます。
ティーチングでは「教える側が持っている以上のものを教えられない」という限界もあります。
これからの社会では、親や先生の知っていることでは通用しないことが多々あると思います。
そして柔軟な発想や、自分からさまざまなことにチャレンジできる能力が必要になってきます。
子どもが自分で考え、自ら行動できるようになるために、コーチングによるコミュニケーションをぜひ取り入れてみてください。
コーチングの実際の実践方法はこちらで紹介しています。
カウンセリング
カウンセリングとは
カウンセリングとは元々の意味は「相談」「助言」という意味です。
対話を通じて相談者の抱える困りごとの解決をサポートするものです。
例えば、学校などのスクールカウンセラーや、就職カウンセリングなどが有名ですよね。
「学校に行きたくない」「自分がどんな仕事に向いているか」などのさまざまな悩みを聴き、寄り添って改善できるようサポートしてくれます。
相手の話をよく聴き相手の中に答えを探す点では、コーチングと共通するところもあります。
コーチングとカウンセリングの違い
カウンセリング | コーチング | |
焦 点 | 感情 | 行動 |
目 的 | 過去 | 未来 |
「相手をサポートしたい」「相手の中にある答えを引き出したい」という気持ちは、コーチングでもカウンセリングでも尊重される気持ちです。
カウンセリングでは、相手が何を感じているのかをしっかり受け止めることに重きをおいています。
受け止めてもらえたことで、心の安定を得ることができます。
そして相手の過去のトラウマなどの原因を特定し問題を解決していきます。
コーチングでは、感情と行動は別のものと捉えます。
感情を受け止めた上で、その後の行動を一緒に考え問題解決や目標達成を目指します。
原因を探るというよりは、「今後どうするか」というように、未来へ向かって考えられるようにサポートします。
コーチングでも、相手の状態でカウンセリングの要素が必要な場合もあります。
どちらも必要なコミュニケーションです。
相手の心の状態によって使い分ける必要があります。
ただ、どちらも「相手をサポートしたい」「相手の中にある答えを引き出したい」という気持ちを持って接することに変わりはありません。
実際のコーチングの使い方【スキル3つ】
コーチングのスキル【傾聴】
「傾聴」とは、相手の話を「聴くこと」です。
普段から誰もが人の話を聞いていると思います。
コーチングでの「聴く」は、否定せずにしっかり受け止めることです。
会話をしながら、「でも・・」「なんで・・」などと返答することは否定と受け取られ、「聴く」ことになりません。
「傾聴」についてはこちらで詳しく紹介しています。
コーチングのスキル【質問】
「質問」とは、文字通り相手に質問をすることです。
ただ、普通に質問するのではなく相手の答えやすい質問をします。
さらに、オープンクエスチョンで相手の考える力を引き出します。
「なんで?」ではなく「何があったの?」のように、相手に責められているように感じさせない工夫も必要です。
「質問」についての使い方はこちらで詳しく紹介しています。
コーチングのスキル【承認】
「承認」とは、相手の存在を認めることです。
普段から、仕事の成果が出たり、子どもがテストでいい点数を取ったりしたときは、褒めたり認めたりすると思います。
しかし結果がどんな場合でも、がんばったことや、ただそこに相手が存在していることを認めることが大切です。
結果が出せたときばかり褒められていると、出せなかったときに立ち直れなくなってしまったり、やる気を失ってしまいます。
「承認」についての詳しい使い方はこちらで詳しく紹介しています。
まとめ
コーチング→自分で考えて、自ら行動ができるようになることが目的
ティーチング→経験豊富な人が、経験の浅い人に自分の知識や技術を伝え、習得させることが目的
カウンセリング→対話を通じて相談者の抱える困りごとの解決をサポートすることが目的
コーチングは、あらゆる場面で効果が発揮できます。
自分の力で考え、行動できるようになり、目標達成に導きます。
しかし、時と場合によって、ティーチングやカウンセリングが必要不可欠です。
違いは色々ありますが相手の状態や環境に合わせて使い分けたり、専門家の手をお借りすることも必要です。
今回はコーチング・ティーチング・カウンセリングの違いについて解説しました。
コーチングによる学習指導なら、オーバーフォーカスがおすすめです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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